SUGA(シュガ)からVへのインタビュー内容

BTSの最新のアルバム「BE」(2020年11月20日リリース)は、彼らの集大成と呼ぶにふさわしい作品だと思います。

メンバーが楽曲の制作に携わることでもよく知られるBTSですが、各メンバーのアーティストとしての成長がぎっしりと詰まっているからです。

今回は、SUGAがVにインタビューした映像から、その点などを見ていきましょう。

今作ってるミックスの進捗はどう?

アルバムの制作を終えて、現在Vは自身初となるミックスの制作に取り組んでいるそうです。

記念すべき初ミックスとあって、Vも相当気持ちを込めているようですね。

「満足のいくものを出したいという気持ちが強い」と語っていたVの瞳が、真っ直ぐにSUGAを捉えていました。

「満足いくものを出したい」という気持ちは、心の中から自然に湧き上がったVの信念だと感じますね。

中断したらしい・・・?

BTSのファンなら、誰もが順調に進んでいることを願う気合の入った初ミックスの進捗。

実は、かなりの遅れが出ていて、現状は4か月ほどストップしているそうなのです。

Vに一体何が起きたのでしょうか。

インタビューを通して、Vは楽曲や歌詞などを、深く掘り下げて論理的に構成するタイプだと感じましたが、やりたいことが湧き上がってこないのだそうです。

とはいえ、心配はないでしょう。

「時間がプレッシャーとならないように」「時間に拘らず納得いくものを」と考えているとのこと。

そんなVに、BTSナンバーワンのメロディーメーカーの呼び声も高いSUGAは、さりげなくエールとアドバイスを送ります。

「曲を作るときは最後までやっておいた方がいい、短い時間に一気にやる」と語りかけるSUGAの眼差しから自身の経験を加味してのコメントであったことを物語っていました。

考え抜いたもの、練り上げたものを余すところなく込めるには、それが薄れないうちにやる、ということですね。

さらに、それを可能にするSUGAの斬新な考え方には納得感がありました。

Vの「2番の歌詞はどう作るか」という問いに対し、「2番は難しいね」と受け止めながらも「1番のサビで終わってもいい」と答えたのです。

無理やり2番を作るくらいなら、熱い想いが込められたところで終わってもいい、枠に捕らわれる必要はないと考えるSUGAが「BTSナンバーワンのメロディーメーカー」と言われる理由がわかる気がします。

いいものを一番いい状態で形にするクリエイティブセンスに富んだSUGAが、そこにいました。

何曲になりそう?

時間をかけて深く掘り下げるスタイルのVは、現在既に13曲ほど作り上げたと言います。

その中から、より納得のいくものを絞って8曲ほどのミックスにしたいと考えているそうです。

深く掘り下げるこだわりの強いVらしい考えと手法ですね。

練り上げて作ったものから厳選する行為は、最高を追い求めるための「掘り下げ」に他ならないのです。

Blue & Grey で1番気を遣った部分はどこ?

アルバム「BE」の中で、Vが手掛けた代表作は「Blue&Grey」です。

この曲は、コロナの中での厳戒体制体制への疲れや仕事でのマンネリ、疲れなど、憂鬱な部分に焦点を当てたからこそかもしれませんが、それらに打ち勝つ、克服したいという率直な気持ちを表現することに非常に力を注いだのだと感じます。

そのこだわりは、メロディーと歌詞の整合性、それらと感情とのシンクロ、曲全体の全体の統一感に至るまで、ぎっしりと詰まっています。

そうすることで、このアルバムでも1,2を争うような人気曲となる「Blue&Grey」が生れたのですね。

Blue & Grey で1番気に入ったパートは?

Vは、この曲の冒頭にある「Where is my angle」というパートがお気に入りなのだとか。

自らの悩みや決断を架空の天使様に打ち明けるというV。

そんなとき、「聞いてもらえなかったような気持ちになった」そうですが、その感情をシンプルに言葉にしたのが「Where is my angle」だったのです。

悩みや苦しみを受け止めてくれる存在はどこにいるのか、という救いを求める感情をストレートに言葉にできたことで、心の中に溜まっていた負の気持ちが上手く吐き出せた曲なのかもしれませんね。

メジャーコードが散りばめられたスローバラードは、マイナスな歌詞が多いのになぜか優しく心に響くように感じます。

この「Where is my angle」というフレーズは、SUGAも初見で「これはイケる」と感じるほど、そのときの世の中の感情の核心をついていたのではないでしょうか。

Blue & Grey はどんな風に聴いて欲しい?

前のパートで、心の中に溜まっていた負の気持ちが上手く吐き出せた曲と書きました。

Vは「Blue&Grey憂鬱なことを歌ったが、暗いイメージにこだわる必要はない。それらに打ち勝つための曲」と話しています。

そして「この曲のおかげで憂鬱を克服できた」とも言っています。

救いを求めながらも、負の気持ちを吐き出すことである意味ではふっ切れた、現実から目を背けない強さや覚悟を知ったのかもしれませんね。

そんな意味で「暗いイメージにこだわらない」と言ったのではないでしょうか。

SUGAは、この曲を「感情的に消耗する」と表現しました。

それは、憂鬱という恐ろしい負と対峙して打ち勝つんだ、という前に進む想いを込めるからなのだと感じます。

そして、そうやって前に進み現状を他派することで、Vが言った「達成感」へとリンクしていくのだと思います。

最終的に少し曲が違う感じになった理由は?

深く掘り下げてこだわりぬくVは、「Blue&Grey」で貪欲なまでに「メロディーに込められた感情を率直に表現したかった」そうです。

そのこだわりの中で妥協せず、RMの書いてくれた詞やフレーズを敢えて採用せず、推敲を重ねていったのでした。

考え抜いているときにSUGAがくれた「大丈夫と言わないで 大丈夫じゃないから」というフレーズが、自らの気持ちを代弁するものだと強い感銘を受けそのフレーズに合わせて、元々書き上げていた歌詞を改めて書き直したのです。

この経験を通して、Vは「心のままに、心に浮かんだものを率直に表現する」というスタイルに挑み、それを成し遂げたのではないでしょうか。

SUGAは、「自分と制作スタイルが似ているためにこのフレーズを取り入れてくれた」と当時を回想しましたが、自分に近い感覚のVに共感し刺激を受け、Vのクリエイティブ能力を認めている、期待を寄せているのかもしれませんね。

(SUGAの曲が)タイトル曲にならなくてがっかりした?

本アルバムでVは、全体の中でより核となるような楽曲を3曲手掛けています。

彼のクリエイティブセンスや能力がさらに磨かれたという意味でもこの「BE」は集大成と言えるでしょう。

そんなアルバムの中には、タイトル曲ではない楽曲も当然含まれます。

VもSUGAも、楽曲提出当初は「すごくいいね」と評価されつつも選外となった曲もあるそうです。

楽曲の良し悪しというよりはアルバムのコンセプトや位置づけ、作品全体の起承転結のような流れの中で決まっていくタイトル曲。

インタビュー内の表情やしぐさなどから、自らの曲が選外になってしまったことに2人はそれなりの納得感もありながら、表現者として「前向きな悔しさ」を持っていることに気がつきます。

こういったことがひとつのキッカケとなって、また新たな楽曲に繋がっていく。

BTSはもはやアイドルやシンガー、パフォーマーの枠を超えて、大きな意味でのアーティストに成長したのだと感じざるをえませんでした。

作業が進まない時はどうしてる?

Vは、作業が進まないときに非常に潔い対応をしていました。

「何とかしなければならない」というプレッシャーを感じないように、何もしないのだそうですが、これには目から鱗でした。

するべきことが進まないと人は十中八九、焦ってもがいて何かをすることで打破しようとします。

しかし、プレッシャーを感じてもがいて何かをすることは、ある意味では実力が発揮できないこと、本意を曲げてしまうことに繋がりかねない側面もある訳です。

深く掘り下げて楽曲を作り込むVは、「進まない作業を無理にこなしてクオリティを下げるくらいなら思い切って何もしない。作業が自然に進み、意欲や歌詞やメロディーが湧き上がるときこそ本物のクオリティが引き出せる」という信念があるのでしょう。

この信念を持つには、相当な覚悟や作業時の集中力や没頭力が必要だと思います。

このことで、現在27歳のVがそこまでの覚悟を持ったアーティストなのだと実感しました。

これからVがやりたい音楽って?

Vは、自らを「アーティストとしては幅が狭い」と分析していました。

深く掘り下げて制作を進めるVにとっては、心に浮かんだこと、考えたことなどを論理的に展開して研ぎ澄ましていく分、削ぎ落しているものがあるのでしょう。

心に浮かんだものを率直に表現できるような感性を活かした表現力に溢れる音楽を目指しているのですね。

「Blue&Grey」では、率直な自分の思いを表現したと語ったV。

もしかしたら何らかの手応えも感じていて、実現可能なイメージやビジョンも見えてきたのかもしれません。

これからのVの楽曲に、そしてまずは彼のミックスに、大いに期待しましょう。

動画で観たい方はこちらです。

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